はじめに

施設長 阿部 修一

2016年のお正月は、昨年と同様雪のほとんどない穏やかな天候となり、新年を迎えるうえではとても安心できる年の初めとなりました。それも束の間、もう桜の季節がやってきました。知足荘は開設から今年10年を迎えることとなりますが、これもひとえに皆さま方の温かいご支援のおかげと思っております。これまで以上にご指導ご協力をよろしくお願い申し上げます。

知足荘の入居者は、年齢が69歳~97歳で、平均年齢は84歳と超高齢者の集まりとなっていますが、皆さんお元気にて生活されていらっしゃいます。昨年は、退去された方がお一人もなく、これは開設以来初めてのことでした。規模は小さいですが、30名(男性8名、女性22名)満室の状態が続いております。

また、昨年は知足荘の皆さまもご承知とは思いますが、中山理事長はモンゴル国大統領から外国人に授与される勲章の中では最高位の「北極星勲章 ( アルタンガダス )」を受章されました。詳細については知足だよりでも報告いたしますが、職員にとっても大変名誉なことであり、益々のご活躍とご健勝を祈念しているところであります。

さて、昨年5月に、開設から知足荘の施設長をされてきた貴舩育英さんが、退任され、私が後任として引き継ぐことになりました。貴舩施設長のような大きな実績や経験はありませんが、その下で約6年間事務長などの経験をさせていただき、新たな気持ちで他の職員と協力して入居者の安全・安心を確保するため努力していく所存でございます。

ある検討会において、「これからの福祉施設長のあり方としては、必要な知識・技術の習得に努め、経験を積むことは大切であるが、習得するだけでは不十分であり、習得した能力を駆使し、事業計画を通して具体的に法人の理念、使命を実現し、ひいては地域全体の福祉の向上に寄与することが今後はより重要となる。さらに、情報公開や地域における公益的な取り組みを通して、地域や社会に社会福祉法人、福祉施設の存在意義を明らかにし、社会資源としての法人・福祉施設の価値向上につなげるという役割意識を持つことが必要となる。」と報告されていました。今後、社会福祉法人制度の改革が行われ、色々な課題に対応していくことが求められると思いますが、施設だけの長ではなく、法人経営への参画や地域との関係などを視野に入れた役割を担っていくことが必要になると考えております。

今年の大きな話題としまして、平成28年1月からマイナンバーの利用がスタートしました。皆さまご存知のとおり、昨年10月以降に住民票のある住所に簡易書留にて、12桁の個人番号が印刷された「通知カード」が送られてきたと思います。さらに、申請することにより顔写真付きの「個人番号カード」が交付されます。

マイナンバー(個人番号)は、年金、雇用保険、医療保険の手続、生活保護や福祉の給付、確定申告などの税の手続き、事業所等における社会保障、源泉徴収事務、災害対策の行政手続で利用されます。さらに、金融や医療等の分野への利用拡大が検討されています。

与えられた番号は生涯にわたって使用することになるので、大切に管理しなければなりません。知足荘では基本は本人管理ですが、高齢で本人管理では不安がありそうな方にはご家族に保管していただくか施設での管理となります。また、実際に市役所等で本人が申請する場合でも「番号確認」として通知カード等が必要であり、さらに「本人確認」として顔写真が付いている個人番号カード等は1点、付いていない被保険者証や年金手帳等では2点の提示が必要となり、これまで以上に時間と不安が広がるのではないかと心配されます。マイナンバーに関わる新たな詐欺などにも注意が必要となるでしょう。

もうすぐ暖かな春を迎え、木々や草花が生き生きと成長をはじめます。知足荘の皆さまには、寒暖の差に注意し、インフルエンザやノロウイルスなどにも負けない体力で、健康で楽しい生活を送っていただくことを願っています。