新型コロナウイルス感染症について

ケアハウス知足荘 看護師 佐藤 桂子

いろいろな感染症は、細菌やウイルスが体に入って悪さをすることによって起きる病気です。細菌とウイルスは違った性質を持つ微生物です。細菌は人の体に侵入して毒素を産生し病気を起こす細菌がありますが、人のからだの皮膚や腸内に生存し、人と共存し良い環境を保っている細菌もあります。細菌は栄養源さえあれば、自然環境で細胞分裂をして増えていきます。細菌感染の治療には有効な抗菌薬が数多くありますが、最近では抗菌薬が効かない耐性菌が問題となっています。ウイルスはウイルス単独では増殖することができません。生きた人の細胞に入り込んで生き残り、自分の複製を作り増殖します。人の細胞の中で増殖したウイルスは細胞外に排出され、さらに他の人に感染していきます。一部のウイルス感染症の治療には有効な抗ウイルス薬がありますが、抗菌薬は効きません。

コロナウイルスについてですが、一般的な風邪の原因ウイルスもコロナウイルスに含まれますが、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMARS(中東呼吸器症候群)もコロナウイルスの一種です。

さて、現在日本で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国の湖北省武漢市で発生が報告され、以降世界各地に感染が広がっています。主な症状は倦怠感、発熱、咳などですが、新型コロナウイルス感染症の最大の危機的状況は、今現在有効なワクチンや治療薬が無く、基礎疾患のある方や高齢者の方は急速に病状が悪化し、重度の肺炎を引き起こし死に至ることです。日本で有名なコメディアンの志村けんさん(70歳)が、この感染症でお亡くなりになりました。「志村けんさん入院」のニュースから、わずか9日後の訃報でした。日本の高度医療を持っても太刀打ちできなかったのです。

感染症の予防方法は感染経路を絶つことです。新型コロナウイルス感染症は飛沫感染と接触感染で感染していきます。飛沫感染は感染した人の咳やくしゃみと一緒にウイルスが飛ばされ、そのウイルスを他の人が鼻や口から吸い込んで感染します。接触感染は感染した人が咳やくしゃみを手で受け止め、ウイルスの着いた手で周囲の物に触れることで周囲がウイルスに汚染され、その汚染された部分に他の人が触り、手から鼻、口を通して感染します。以上のことから新型コロナウイルス感染予防策は、咳エチケット(マスクの着用)と手指衛生(手洗い・消毒)が要となります。できる限り感染の機会となる人混みを避け、丁寧に手洗いを行いましょう。個人の行動が自分の命を守るだけでなく、更に周囲の大切な人を感染から守ることにつながります。